ネガイゴト

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  「で、でも……私がお菓子を作って持ってくるなんて……へ、変だよ……」 焦ったのか、どもりながら彩葉がたじたじと言葉を紡ぐ。 しかしそんなこと瑣末なことだとでも言うように、かえでは食い下がった。 「全然おかしくなんかないですよぉ! だって男の子の修平くんがお菓子を持って来てるのに、あやちゃんが持って来ておかしいわけがないです!」 「……まぁ、そう言われれば、そうなのかな……」 「そう言う小倉さんは、やっぱりお菓子をよく作るの? こないだのチョコタルト、すごく美味しかったよね」 安土が尋ねると、かえではお決まりの頬を手で押さえる仕草を見せ、ぽわんとした顔で答える。 「いえ、それほどでも~。ちゃんと作ったのはあの時のチョコタルトが初めてですよぉ~。でも、やっぱり料理と似通ったところが多いですからね」 「なるほど……うーん、オレ、料理とか全然ダメで……」 「私も……慎重になりすぎて焦がしたり、上手くいかなかったりするんだよね」 安土は特に、美緒と俊介という料理を完璧にできる存在が身近すぎるため料理をする機会が無い、というのもある。 涼子もどうやら、石橋を叩き壊す性格が災いしているらしい。  
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