硝子の部屋

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  那賀も那賀で、どうやら元来素直な性格らしい。 瑠維のテンションが彼の神経を逆撫でしそうなものにも拘らず、さほどそれに煽られているふうではなかった。 それに加え、昨日あれだけ怪訝そうにしていた割に、今は随分素直になっている。 「……だな。振り出しに戻るにしても、まだ手遅れじゃないと思うし。とりあえず、まずはリハビリをこなすのが先だけどな」 まるで自分の気持ちを整理するかのような声だった。 独り言にも似たそれを受けて、ふぅん、とつまらさなそうに応じたのは瑠維。 「そのほうがバクチだよねぇ。ナガくん、チキンぶってるように見えてほんとはギャンブラー?」 指先で髪をくるくると弄りながら適当な調子で言う。 もはや視線すら向けておらず、完全に興味を失ったときのそれだった。 しかしそれを受けて、那賀はくすくすと笑い出し、やがて声をあげての笑いとなる。 「あははっ、それもアリだな。博打に出て、大当たりする可能性があるならそっちに賭けてやる」 「た、例えで言っただけだし。当たる保証なんてないんだから」 「分かってるよ、そんなの。でも、バスケ続けるのだってよく考えりゃ博打なんだよな。堅実な話じゃない」 予想する気すらなかったという意味で予想外の反応をされてしまい、瑠維が僅かにたじろぐ。  
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