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太陽は空高く真上に。真夏の午後は体温を挑発して吊り上げる。
家の中。部屋の中。壊れたクーラーを見上げて二人は佇む。
「マジかよ!? こんな時に……」
汗を垂らし、二重の意味で汗るのは一人の少年。今年18を迎える源 紫琉(みなもと しりゅう)。
「どうするの? これじゃ、とても勉強なんてできないわ」
その横で見上げるのは、ルビーの様に赤い瞳。日焼けを知らない白い肌。腰のラインまで長い黒色の髪。抜群のプロポーションを持つ高坂 初音(こうさか はつね)。
紫琉は、クーラーで暑さが凌げないよりも、幼馴染みで在る初音の機嫌を損ねるのが怖かった。
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