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初音は喜怒哀楽を殆ど表に出さず、僅かな眉の上げ下げだけで気分を示す。
毒を含んだ言葉でも躊躇無く述べるので、クラスの空気を頻繁にギスギスさせてしまう。その度に紫琉がフォローして来た。
クールと言うよりも刺々しさを、幼い頃からずっと守って来たのだ。
故、一層に思いは強い。何を考えてるか分からなくても、表情を読めなくても、付き合ってる彼女を離したくない。
紫琉の思いはそれだけ。恋焦がれてた人が隣に居る、それだけで嬉しかった。例え初音が紫琉を好きじゃ無くても、断るのが面倒だからオーケーしたとしても、紫琉は幸せで溢れてた。
「一人で、行こ……」
結局、初音の意志を尊重して引き止めず、一人で町民プールに行ったのだった。
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