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…トン……トン…
心地よい足音のリズムを楽しみながら歩いていると
「…ねぇ……」
静かで、それでいて存在を感じさせる低い声が後ろから聞こえた。
自分の足音に気を取られていたのか全く気付かなかった。
立ち止まって振り返る。
そこには――…
低めの身長に夜よりも黒く艶のある髪、何を考えているのかもわからないような表情をした男の子がいた。
一瞬、中学生かと思ったが制服が自分の学校のものだと気付いた。
整った顔立ちに吸い込まれそうな瞳が印象的で―…
「ねぇ」
その一言で我に返る。
どうやら上の空になっていたらしい。
「…なんでしょう…か?」
登下校中に人が話しかけてくるなんて入学以来初めてで驚きながら、ごく普通の返事をしてみる。
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