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滴る水の音が響き渡るその空間は、何者かによってかじられた大木の根が剥き出しになり、黒く変色した砂が不吉感を漂わせている。
水の音以外は何も聞こえない。
常人がこの空間に放たれるとなれば、たとえ食料があろうと一週間もあれば飢えて死に絶えそうな程である。
それほどまでに、そこは孤独感や恐怖感を味会わせるには充分であった。
しかしこの男、榮凪岳(サカナギガク)は食料も何も与えられないまま約ニヶ月は耐え抜いてきた。
ここは地下牢。
ここの所有権を握るFUJI2電気株式会社の持ち場である。
勿論ながら、政府関係者には目の行き届かない場所に存在している。
三ヶ月に一度、FUJI2電気株式会社の次期社長である風爾轟太(フジコウタ)が僅かな食料を持ち、視察に訪れるのだが大抵の者はそれまでに死に絶える。
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