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「お前は、俺の何を知ってんの?」
「え?」
「お前が見たままの俺と、噂しか知らねえじゃん」
今度は真っ直ぐ冷たい目で私を見据えました。
私が机に落書きされ、教室内にいる生徒達を睨み付けたあの時と、同じような目をしていたのです。
私は、加賀君にとってなんだったんでしょう...
今は、敵なんでしょうか。
「馬鹿正直で、疑うことを知らない。そんなんだから騙されるんだよ」
「...騙されてなんかいません」
「何で?」
「だって、加賀君は優しくしてくれました。すももが吐いた時も走ってきてくれました。岬君から守ってくれました」
「だから何だよ」
「......」
全て事実なのに...
私にとっては大事なことなのに...
加賀君は、そんなこと、特別でもなんでもないと言ったような態度で、尚も私を見下ろします。
いつもなら、こんな時、私の背に合わせて屈んでくれます。
それも加賀君の優しさです。
なのに...いつもの加賀君はどこにいってしまったのでしょうか。
もしかしたら、この加賀君は偽物なんじゃないかと思えてしまいます。
加賀君は、きっと宇宙人にさらわれて、この加賀君は宇宙人が化けているのです!
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