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「付き合うことはできません」
ハッキリさせておかなければなりません。
優柔不断な私のせいで、皆に迷惑をかけるわけにはいきませんから。
「まだ、気持ちに整理が付かないだけだよ。加賀を探してみるといい。丸井さんじゃどうしようもなくて、悲しみに明け暮れて苦しくて押し潰されそうになった時、僕を頼ってくれたらそれでいい」
「それって、林檎にとって、都合のいい男になると思うけど」
「そうだね。間違っちゃいない。それでもいいんだよ。それが計算じゃなければ」
「確かに林檎は計算なんてできるような子じゃないけど……」
暫く岬君と有紀ちゃんの会話を聞いていましたが、二人同士にチラリと私の方を見ました。
岬君は、都合のいい男になりたいということなんでしょうか……
私にはいまいち、二人の会話の意味を理解出来ませんでした。
「それで、どうするの？付き合う、付き合わないは今後考えていくとして、加賀の情報と交換で条件をのむの？」
岬君は、小首を傾げ私に答えを求めます。
条件って、やっぱりデートのことですよね……
「あの……」
「ちなみに、それ以外の条件は認めない。僕とのデートが嫌なら、加賀の情報は他をあたるといい」
また、そんな意地悪をいう……
岬君は、時々すごく意地悪です。
私を困らせるのです。
「有紀ちゃんは……？」
「それは林檎が決めな。ただ、私が認めるのは、健全なデートよ」
一息ついたあと、有紀ちゃんは岬君に向き直り、そう言いました。
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