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「もちろん。手は出さないよ。約束する」 手は出さない……とはどういう意味でしょう? 「だってさ。どうするの?」 「有紀ちゃん……よく意味がわからないんだけど」 「だから、デート中に間違ってもアンタを襲ったりしないって意味よ」 「襲っ!?」 ゆ、有紀ちゃん、とっても破廉恥です!! 私は両方のほっぺたが熱くてたまりません。 私には加賀君がいるのに、そんな事をされては困るのです! 「単なるデートだよ。一緒に買い物したり、映画をみたり、僕と二人だけの時間を一日作ってくれたらいい」 買い物や映画……? 岬君と一日中一緒にいるってことですよね…… まだ加賀君とだってデートしたことないのに…… そう思うと、悲しくなりました。 付き合ってもいない岬君は、デートに誘ってくれるのに、彼氏だった加賀君は、一度もデートをしてくれませんでした。 「加賀君と……デートした後ならいいです……」 それが、精一杯でした。 加賀君ともしていないことを、先に岬君とすることは、何だか裏切り行為のように思えてならないのです。 「加賀とデートした後?それは、もちろん、別の日に改めてってこたとだよね?」 「はい……それでいいです」 仕方ないのです。 岬君しかいないのですから。 他に加賀君のことを知ってる人なんて思いあたりません。 私が、一日我慢して岬君とデートをすればいいだけなのですから。 「そう。だけど、期限は1ヶ月以内。それまでに加賀とデートできなかったとしても、僕とデートしてもらうよ」 「絶対、先に加賀君とデートします!」 「そうだね。そう祈ってるよ」 そう言った岬君は、とても余裕そうに見えました。
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