271人が本棚に入れています
本棚に追加
「もちろん。手は出さないよ。約束する」
手は出さない……とはどういう意味でしょう?
「だってさ。どうするの?」
「有紀ちゃん……よく意味がわからないんだけど」
「だから、デート中に間違ってもアンタを襲ったりしないって意味よ」
「襲っ!?」
ゆ、有紀ちゃん、とっても破廉恥です!!
私は両方のほっぺたが熱くてたまりません。
私には加賀君がいるのに、そんな事をされては困るのです!
「単なるデートだよ。一緒に買い物したり、映画をみたり、僕と二人だけの時間を一日作ってくれたらいい」
買い物や映画……?
岬君と一日中一緒にいるってことですよね……
まだ加賀君とだってデートしたことないのに……
そう思うと、悲しくなりました。
付き合ってもいない岬君は、デートに誘ってくれるのに、彼氏だった加賀君は、一度もデートをしてくれませんでした。
「加賀君と……デートした後ならいいです……」
それが、精一杯でした。
加賀君ともしていないことを、先に岬君とすることは、何だか裏切り行為のように思えてならないのです。
「加賀とデートした後?それは、もちろん、別の日に改めてってこたとだよね?」
「はい……それでいいです」
仕方ないのです。
岬君しかいないのですから。
他に加賀君のことを知ってる人なんて思いあたりません。
私が、一日我慢して岬君とデートをすればいいだけなのですから。
「そう。だけど、期限は1ヶ月以内。それまでに加賀とデートできなかったとしても、僕とデートしてもらうよ」
「絶対、先に加賀君とデートします!」
「そうだね。そう祈ってるよ」
そう言った岬君は、とても余裕そうに見えました。
最初のコメントを投稿しよう!