271人が本棚に入れています
本棚に追加
「さて、丸井さん次第。サインしないなら、この話はなかったってことで」
「わかりました、します」
「林檎!」
有紀ちゃん、私の腕を掴んで制止しようとしますが、私はもう決めました。
納得できるまで、私は加賀君が別れ話をした原因を探します。
私は、目の前に落ちた紙を表に返すと、用意されたペンでフルネームを書き上げました。
緊張している心とは裏腹に、手は震えることなく、いつも通りの字を書くことができました。
「確かに。それじゃぁ、早速。何が聞きたい?」
岬君は、話をはぐらかすどころか、自ら進めました。
私も契約書にサインしたんです。
約束を守ってもらわなければ困りますが、こうもあっさりと岬君が応じてくれることが、正直意外でした。
最初のコメントを投稿しよう!