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「加賀が昔病院送りにした他校生のリーダーが戻ってきたんだよ」
「戻ってきた?」
「そう。油井って男なんだけど、1つ上の3年生だね。加賀に胃を破られてから、数ヶ月で退院したんだ。だけど、逆恨みから油井は加賀をナイフで刺そうとした。咄嗟に加賀は、油井の後輩を盾にして難を逃れたが、油井は勢い余って後輩を刺してしまった。命までは落とさずにすんだけど、場所が悪くて彼は下半身麻痺になってしまったんだ。当然、油井は少年院へ行った。その彼が3日前に出てきた」
岬君の言葉を聞き、私は思わず息をのみました。
そんな出来事があったなんて……
もしかしたら、大地君は刺されていたかもしれないのです。
そしたら、私は大地君とは出逢えなかった。
けれど、もしかしたらそれがまた奪われてしまうかもしれない。
「油井はまだ加賀を諦めていない。一番信頼していた後輩を自分の手で傷付けてしまったわけだからね。それが加賀のせいではないとしても、油井はそれを認めない。もしかしたら、殺そうとしているのかも」
「殺す!?」
「彼も僕達もまだ未成年だ。人を殺したって逮捕されるわけでもない。前科は残るけど、そんなこと油井にとっては問題じゃないんだよ」
岬君は、あくまでも冷静です。
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