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「俺の女になれるなんて光栄に思えよ?」
「あ…あの…」
「あ?」
「えっと…」
上からこうも見下ろされてはとても勘違いなどと言えた物ではない。
ただでさえ周りを顧みずに告白の返事を加賀がしてしまったばかりに見せ物のような状態になってしまっている。
二学年のほとんどの生徒が見ている中で勘違いだと知った彼が自尊心を傷つけられたと暴れようものなら誰も止められないであろう。
それにそのような場合、一番被害にあいそうなのは他でもない林檎自身なのだ。
「とりあえず次の休み時間にくるからな」
「えっと…」
「じゃぁな、林檎」
早速呼び捨てで林檎の名を呼びながら背を向け、手をひらひらとさせた。
加賀がいなくなった二学年の廊下はざわざわと騒がしくなるのだった。
これが彼、加賀大地との出会いだった。
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