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か、彼氏じゃないのに…
彼氏というそのワードにまた泣きそうになる私を余所に
「丸井も人が悪いよなぁ。お前ら、そういう関係なら言ってくれりゃーいいのに…俺なんか朝、本気でビビっちゃったよ」
なんて言いながらゲラゲラと笑っている。
いえ、違うんです。
全て勘違いなんです。
そう言ってしまいたい。
いや、勘違いしたのが藤崎君だけなら私も言ってしまうだろう。
しかし、相手はあの加賀君なのだ。
「林檎、行くよ」
「え?有紀ちゃん…」
その場を動こうとしない私の手をひいて有紀ちゃんは廊下の方へと進んでいく。
もしかして…有紀ちゃん…
私は少し期待してしまった。
もしかしたら間違いだと言えない私の為に有紀ちゃんが断ってくれるつもりなんじゃないかと…
だって有紀ちゃんは事情を全部知っている…。
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