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俺はそいつの名前を知っていた。
そいつ自身も…
「あの、これ落としましたよ」
それが俺と丸井林檎との最初の出会いだった。
突然服を引っ張られ、振り返るとアイツは息を切らせて俺にネックレスを渡した。
すっげぇ小さくて、初めて見た時には小学生かと思ったのを覚えてる。
別れたばっかの女にもらったネックレスを道端に捨てたのにわざわざ拾って俺を追いかけたアイツ。
俺が怖いのか、震える手で俺にネックレスを手渡した。
怖いならほっとけばいいのに…
そう思うものの、こういうのを放っておけない性分なのだろうと思ったら何故だか可愛く見えた。
アイツは覚えていないだろうが俺にとってはすげぇ印象深かった。
アイツが誰なのか。
探さなくったって簡単に見付けられた。
ずば抜けて小せぇから。
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