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「これ、嫌いだよな?」
「…はい」
タバコを吸う人は嫌いです。
お父さんも値上がりのためやめました。
煙を吸い込むとむせてしまうから嫌なのです。
「ごめん。…やめなきゃな」
そう言いながらタバコの箱をぐしゃっと潰した加賀君。
まるで私が丸めたあの手紙みたいです。
「加賀君…」
「そんな顔させるつもりなかったんだけど…」
そう言って私の頬に手を伸ばした。
指先が触れると、ビクリと体が反応する。
殴られるわけじゃないのに触られるのが怖くて…
「怖い?」
不意にそんな事を聞かれてふるふると大袈裟に首を左右に振った。
確かに怖いけど…とても頷けません。
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