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「………………」 お礼すら言えませんでした。 だって話を聞かれてしまったのです。 手紙が勘違いだった事も…岬大地君が好きだった事も… 「丁度よかったね?これで誤解が晴れるじゃん。加賀君が聞いた通り、丸井さんは本当は僕の事が好きだったんだよ。つまり、あの手紙は僕に宛てた手紙ってこと」 岬大地君の口からは面白いようにスラスラと言葉が溢れています。 加賀君に初めて会った日、有紀ちゃんに言ってもらいたかった言葉。 それを今は大地君が言っているのです… 「君が拾った手紙に書いてあったのは“たいち”。僕の名前だよ。君じゃない」 「そんな説明されなくても理解できる」 そう言った加賀君の言葉は私の胸にとても冷たく響いたのです。 その声に血の気がひきました。 こんな形で知ってほしくなかったです…。
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