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「よかったじゃねぇか」 と思ったのに、頭上から聞こえた言葉は意外な言葉でした。 「え……?」 「誤解が晴れて、念願の“大地君”と付き合えるんだろ?勘違いして悪かったな」 私は何も言えませんでした。 何も言葉が浮かんで来なかったのです。 “悪かったな” だって加賀君は何も悪くないのに… そう思ったら自然と涙は頬を伝いました。 「…じゃぁな」 そんな私を見ても加賀君はそう一言言っただけで、裏庭の方へ歩いて行ってしまいました。 “泣くなよ” そう言って笑った顔が…昨日の出来事が…蘇ってきます。 優しく頭を撫でてくれたり、泣き止むまで抱きしめていてくれた加賀君はもういません。 今いるのは私に軽蔑の眼差しと背中を向ける加賀君と、私が泣いた事によりオロオロとし出す大地君。 こんな結果なんて、決して望んではいませんでした…。
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