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―――― 昼休みになりました。 あの後、大地君に声をかけたのですが 「ゆっくり話したいから昼休みに資料室に来てくれる?」 そう言われてしまったのです。 「すぐに済みます」 そう言ったのですが 「皆がいる前だと話しずらいでしょ?」 そう言われ、納得した次第です。 そして、一足早く資料室にやってきました。 資料室には社会科の地図や紙をまとめて切るための機械などが置かれています。 外側から鍵はかかっていませんが、内側からはかけられる仕組みになっているのです。 「ごめんね。お待たせ林檎ちゃん」 爽やかに笑う彼は、やっぱりかっこいいです。 しかし…あんなに好きだったはずなのに、加賀君が好きだと気付いた瞬間、こんなにもときめかなくなってしまうものなのですね。 そう思うと少し、寂しいような気がしました。 「それじゃ、本題に入ろうか?」 この時、大地君が体のうしろで鍵を閉めている事に私は気付いていませんでした。
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