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「これで最後にするから…えい!」
「あぁ!林檎!」
有紀が止める間もなく林檎は手紙をぐちゃぐちゃに丸めると廊下の窓の外にそれを投げ捨ててしまった。
教室のゴミ箱に捨てれば誰かに拾われ、読まれてしまう可能性がある。
かといってその恥ずかしい手紙を家に持ち帰る気にはなれなかった。
そこで林檎は裏庭に捨ててしまおうと考えたのだ。
裏庭には滅多に人が近付かない。
それは裏庭に続く校舎との間の道に不良グループがたまっているからであった。
もちろんそれを知っている林檎は丁度裏庭の真上にあるこの窓から手紙を捨てたのだった。
「次に書いたらちゃんと渡すから…」
明らかに顔付きの変わった有紀に対し林檎は気まずそうにボソリと呟いたのだった。
「そう言ってていつも同じ事繰り返すんだから…ほら、授業始まるよ」
もう捨ててしまったものは仕方がないと有紀も半ば呆れながらも林檎を教室へと促した。
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