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―――― 何やってんだか…俺。 一目林檎の顔が見たくなった。 だって今日からアイツは裏庭にはこないから… だから、普段廊下なんて歩かないくせに何事もなかったかのように廊下を歩いてみた。 案の定、いつもの廊下にいた林檎。 だが、アイツは岬ってやつと話していた。 内容は聞こえなかったが、岬の笑顔を見る限り、二人は付き合い始めたように思えた。 来るんじゃなかった…。 そう思った時には遅かった。 元来た道を戻るのもばつが悪く、林檎の横を通りすぎた。 “加賀君…” 名前を呼ばれた瞬間、振り返りそうになった。 まだ俺の事を気にしている事が心なしか嬉しかったから。 でも、アイツは俺に気があるから名前を呼んだわけじゃない。 わかっていても、林檎の声で名前を呼ばれた事が嬉しかった。
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