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しかし、俺はドアを開けずに静止した。
「…でさ」
中から声が聞こえたのだ。
俺は諦めて他の場所を探そうと思った。
ドアから手を離し向きを変える。
「林檎ちゃん、どうなったかな?」
ふとそんな声が聞こえ、足を止めた。
林檎?
聞き間違えかとも思ったが、林檎絡みとなると俺も弱いらしい。
そのまま耳を澄ませてみた。
ドアに張り付くようにしていてもここの階へ上ってくる生徒もほとんどいないため、誰に見られる事もないだろう。
「アイツ、林檎ちゃんみたいな子、タイプだっけ?」
「違う違う。どちらかと言えば一緒にいる七瀬有紀って子のがタイプだろ」
「だよなぁ…。確かにあの子、可愛いけど色気には欠けるしな」
そんな会話が聞こえ、イラッとした。
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