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それからややあって、俺たちは目的地にたどり着いた。その間に霊夢から外来人の心得的なものを聞いていたが、ここで語るものでもないから省略しとく。
「ここね」
そこはさっきまで通っていた道から魔法の森に入ってすぐの所だった。霊夢が立ち止った木の根元には大量の血痕が残っていた。
……あー、なんか話が読めてきたぞ。村人Aが俺を化け物って呼んだ理由も。
「変ね、血痕しか残ってない」
「……なぁキサラギ」
「どうした魔理沙」
「お前って血溜まりに寝るのが好きなのか?」
「そんなわけないだろ」
「ならお前なんであそこで寝てたんだ?」
「ちょっと、なにこそこそ会話してんのよ」
魔理沙も薄々気がついてるんだろうな、俺がルーミアに食べられたこと。うーん、カミングアウトするべきなのかな。
「キサラギ、黙ってないでなんか言えよ」
「何あんたら、なにか知ってるわけ? ちゃんと私にも教えなさいよ」
「だぁーもう分かった分かった! 話すし教えるからちょっと離れろお前ら!」
そうヤケ気味に言うと先程まで詰め寄っていた二人は少し距離を取ってくれた。信じてくれるといいけど。
「話す前に聞きたいことがあるんだけど、あの村人は霊夢になんて相談をしてたんだ?」
「は? そんなことよりさっさと教え――」
「いいから」
「――ちっ、昨日の夜遅くにルーミアの食べ残しを見つけたから詳しく調査してくれって言われたのよ」
あぁ、俺が寝ているところ――傷が中途半端にしか治ってない体を見られたのか。うん、話は一致したな。
「じゃあ、正直に言うぜ。その食べ残しは俺のことだ」
「そんなわけないでしょ。だったら今あんたが生きてるわけないじゃない」
「そ、そうだぜ。お前、さっき会った時、体に何もおかしいところなかったじゃねぇか」
有り得ない発言をする俺に常識的な言葉で反論する二人。でも、次の言葉でその態度は覆ることになるだろうな。
「いいや間違ってない。なぜなら――」
毎度のことながら、口にしたくないことを口にするのは大変な勇気がいるな。でも言うと決めた以上は言わなきゃ……言わなきゃ!
「――俺は不老不死だからだ」
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