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「じゃあどうして不老不死なのよ? 生まれつき?」
「うーん、それには深いわけがあってな……」
「とりあえず立ち話もなんだから、博麗神社に行って茶でも飲みながらにしようぜ」
「そうするか」
「どうしてそうなるのよ……」
というわけで、博麗神社に向かうことになった。その道中で、幻想郷の住人が持つ能力について霊夢から教わることになった。
幻想郷に住む者には大抵何かしらの能力が備わっているらしい。例えば霊夢の場合は『空を飛ぶ程度の能力』、魔理沙は『魔法を使う程度の能力』を持っているとか。……なんか一見地味そうな能力だな。
「それで、キサラギはどんなことが出来るの?」
「私たちが名前付けてやるよ」
「名前ならもうあるよ。そうだな……博麗神社ってどの方向にあるの?」
「えっと……あっちだけど、それがどうかしたの?」
「一瞬で連れてってやんよ」
そう言って俺は指を鳴らす。
途端に音が姿を消す。空を切って飛んでいた鳥は空中で微動だにせず、流れ消えゆく運命だった雲はその場に留まる。目の前の二人もそれらと同様に、まるで時間が止まったように動かなくなった。
実際の所、例え話でもなく本当に時間は止まっている。否、俺が止めたのだ。これが俺の持つ能力、『時空を司る程度の能力』のうちの一つ。
「さて……ここからが大変だな」
なんせここから霊夢が指さした方向――あの山の頂点まで二人を担いで行かなきゃならないんだから。非力な俺には重労働だぜ……。
動かない二人を肩に担ぎ、一路博麗神社を目指す。重労働だと言っておきながら、案外スムーズに進むことが出来た。これも時間が止まってるからか?
実は俺、自身の能力についてまだ完全に分かってなかったりする。そもそもこの能力の存在に気付いたきっかけが『起きたら時間が止まってた』という素っ頓狂なものだったのだ。いやぁあの時は焦ったなぁ。
それから色々あって時空の隙間から世界を超えられることに気付いたのがほんの一千年前。もしかしたら、まだ出来ることはあるかもしれない。気付くのがいつになるかは知らんが。
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