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「で、博麗神社に着いたことだし、不老不死についての話と洒落込もうじゃないか。霊夢、お茶の準備してー」
「魔理沙……あんたいつにも増して厚かましいわね」
「あんまり面白い話じゃないぞ?」
「面白い面白くないは問題じゃないんだぜ」
無事に神社に到着したところで俺達は縁側へと移動し、そこで俺の体質について話すことになった。退屈しのぎに聞くってことか? まぁいいか。たまには昔を振り返ってみるのも悪くないかも。
「あれはどのくらい前だったかなぁ……」
「やっぱり滅茶苦茶昔の話なのか?」
「そうだな。軽く見積もっても一万年以上は前だと思う」
「一万!? おいおいそりゃいくらなんでも昔過ぎないか!?」
「お茶出来たわよー、ってもう話は始ってるの?」
記憶を掘り返してる間に霊夢がお盆に湯呑と茶菓子を乗せて来た。茶菓子も持ってくるとは、準備がいいな。
「霊夢、キサラギって軽く一万年以上は生きてるらしいぞ!」
「どのぐらい生きたかなんて関係ないでしょ、不老不死なら尚更」
霊夢は魔理沙みたいに驚かないんだな。
「で? どうして不老不死になっちゃったのかしら?」
「結論から言えば、とある実験のサンプルにされちゃったから」
「実験?」
「不死身の兵士を生み出すための実験。俺が生まれた世界はさ、争うことが大好きで、常に相手を打ち負かすことしか考えてない気違い染みた連中しかいない所だったんだ」
「戦争……」
「あぁ、そういう行為が大好きな奴らだった。敵対する勢力に勝つために科学力とか軍事力を極限まで発達させて、その結果が滅亡だからな」
「滅亡って、滅んだのか? 人間が?」
「人間だけじゃないよ。ありとあらゆる生命、物質、自然まで。何もかも壊れた。俺だけを残して」
その頃の記憶を噛み締めながら俺は話を続ける。
「ちょうど実験が成功した直後だったかな。研究所に爆撃が来て俺以外はみんな死んで、それに激怒した国が全面戦争を起こしたんだ」
「…………」
でも、その戦争はすぐに終わりを迎えることになる。
「それから終わるまではすぐだったな。あんまり怒ってたもんだから一番破壊力の高い爆弾をありったけ敵に送り込んだんだ。加減ってものが分からなかったんだろうね」
「それで敵に勝ったんじゃないのか?」
「いや、引き分けに終わった。爆弾の範囲は敵国全体はおろか、世界中にまで及んだんだ。結局、何もかもが無くなった」
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