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「悪かったな、いきなり殴ったりして」
夏と呼ばれた男が手を差しだしながら謝ってきた。
「いいよ。そっちにも悪気はなかったみたいだし」
その手を借りて起き上がらせてもらう。というか遠くからだと分からんかったが、中々に背が高いな。
「改めて自己紹介させてもらうよ。俺はキサラギ」
「天樹夏(あまき なつ)っていうんだ。よろしく」
そのまま握手を兼ねての自己紹介。天樹夏か……着てる服装からして外来人だろうか。それに沙倉に似た気配を感じる。
「それでさ、キサラギは何してたの?」
「紅魔館を探検してたんだ……というか沙倉ってもう帰ったんじゃなかったのか?」
確か咲夜にそう言われてたような気がする。
「私、今はここに住ませてもらってるんだ」
「だからメイド服じゃなくて普段着なんだね」
「うん。それはそうと、小傘ちゃんメイド服似合うね!」
「え? 本当!?」
「もちろんだよ! 夏もそう思うでしょ?」
「そうだな。沙倉に勝るとも劣らぬかわいさだ」
うわーお、もしかして似合わないって思ったの俺だけかよ。ちょっと自分の美的センスを疑うぜ。
「ねぇどんな気持ち? 自分が少数派に回ったのってどんな気持ち?」
小傘が当てつけがましくこちらを覗き見る。意地悪い笑顔でこっちを見るな。
「じゃあ俺は帰るかな。沙倉も無事みたいだったし」
「うん。わざわざありがとね」
うん? 無事みたいだったってどういうことだ?
「沙倉って誰かに狙われてたりするのか?」
「まぁ私だけって話じゃないんだけどね」
そう言って夏に目配せする沙倉。
「俺はそいつらから自分の身はもちろん、沙倉やみんなを守るために今色々と頑張ってるんだよ」
「話が読めないけど、大体は分かった」
要するに夏達を狙う物たちがいてそいつらを返り討ちにするため、自分たちの身を守るために今強くなろうとしてるってことか。
「ならさ、俺と戦ってみない?」
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