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「くそ、いいのをもらっちまったぜ」
攻撃された腹をさすりながら、こちらを見据える夏。
「なぁ、夏もやっぱり竜の力が使えるのか?」
さっきから浮かんでいた疑問をぶつけてみる。それに夏は簡単に答えてくれた。
「あぁ。俺には守りの竜――火竜の力が使えるんだ。……ってもまだ完全には扱いきれてないんだけどな」
「それはいいことを聞いたな」
完全に扱いきれてない……となると少なからず俺にも勝機があるってことだよな?
「侮るなよ、火竜の力を」
少し余裕を持ってしまった結果がこれか。今の瞬間に、夏はある程度あった距離を一気に縮めてきたのだ。
「!?」
「このラッシュが防げるか!?」
拳撃蹴撃を織り交ぜた夏の猛攻が始まった。時には避け、時には受け流すことで今はなんとか凌げているが、一撃一撃が速い上に重みもあるため連撃が続けば続くほどこちらが不利になってしまう。
「ほんっとに! 守りの竜かよ!」
「攻撃は最大の防御って言うだろ!!」
なるほどね。これはきついぜ。攻めでこれだけの強さなら守りは半端じゃなさそうだ。
「脚が空いてるぜ!」
思考中の隙を突かれ、足払いをまともに受けてしまう。
「しまッ!?」
「吹っ飛べ! 火竜・豪炎武!!」
地面にこける暇すら貰えずに、夏の攻撃をまともに食らう。両腕に炎を纏ったその一撃は鳩尾にクリーンヒットし、俺は声も出せずに後方に吹っ飛ばされた。
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