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空間固定で創った階段を限界まで上り終えて、荒くなった呼吸を整えつつもチラッと後ろを見てみる。流石にもう追っかけてはきてないだろ――
「なんだ、鬼ごっこはもう終わりなのか?」
――私が甘かったですすいません許してください。
そこには月明かりに照らされた、両手を広げて十字架のポーズをとりつつこちらを見ているルーミアがいた。
あぁ……そういえばこっちの連中ってみんな空飛べたんだっけ……。失念してました、てへっ。
てへっ、で許されれば警察はいらないんだよぉぉぉ!!
「ほーら、捕まえた」
自分で自分に突っ込みを入れているうちに、肩を掴まれ地上に無理矢理下ろされる、というよりは叩きつけられる。いったいなぁ、もうちょっと手加減しろよ。
「また会えたね」
「こっちはまた会いたくなかったよ」
にぱー、と満面の笑みを浮かべるルーミア。……こんな時にこんなこと思うのもなんだけど、幻想郷にはかわいい娘がいっぱいいるんだな……人間を食料にする奴ばっかりだが。
「私がこうしてるってことはどういうことか、もう君なら分かるよね?」
「このまま俺を離して逃がしてくれるんですよね、分かってます」
「ぶぶー、ハズレ。正解だったら逃がしてあげようかなって思ってたんだけどなぁ」
マジか畜生。
「君がどうして生きているのか不思議でたまらないけど、今は食欲を満たさせてね」
「その不思議、説明してあげるから解放して」
「やだ」
もうどうしようもないなこりゃ。時間停止は俺と俺に触れている者が対象になるから、使ったら元々ない助かる確率がさらになくなっちゃうし。
「では、久々の晩餐、いただき――っ!」
これから襲来する痛みを覚悟しつつも、ルーミアが迫ってくる様子を見据えていたのだが、食われる寸前でルーミアがその場から飛び退いた。その直後にルーミアがいた場所に白く光る弾幕が飛来した。
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