翌日、夢の中で

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「で? まさかそれだけを聞きにきたんじゃないんだろ?」 「勿論。こんなことは藍の役目、わざわざ私が出向く必要はないもの」 聞き慣れない単語が出てきたな。従者か何かだろう、きっと。 「今回は聞き込みを兼ねてのお礼に来たのよ」 「お礼?」 むしろ懲罰だろ、この場合。まさか誰かさんが誰か分かってない訳じゃあるまいし。 「私の知らない霊夢が見られたからね、そのことに感謝しようと思って」 「そんなことで?」 「貴方にとってはそんなことかもしれないけど、私にとっては非常に重要なこと。気になる人のことはなるべく知っておきたいものでしょう?」 「……まぁな」 扇いでいた手を止め、真剣な声色で話す紫。これで顔を気怠そうに手で支えてなければ完璧なのに。 それにしても、紫の知らない霊夢か……。あぁくそ、やっぱり起きとけばよかった。 「して、お礼とはどのような物を?」 「意外に図々しいわね貴方。ここがどこかも知らないくせに生意気だわ」 あ、そういえば知らなかった。まぁいいか、どうせどこだろうと俺は一向に構わないし。 「お礼は残念ながら物じゃないわ。情報よ」 「……情報か」 「そこまで期待してなかったくせに何を残念がってるの?貴方の旅にとっても有益な情報だから、真面目に聞きなさい」 へいへい。 「ところで貴方、四季というものはご存知かしら?」 「馬鹿にしてるだろそれ。春夏秋冬のことだろ」 「えぇ、それで合ってるわ。その四季がこの幻想郷にも存在するのだけれど、季節ごとの名所を知りたくはない?」 扇で口元を隠しつつ、目に笑みを浮かべる紫。 知りたくない、と言えば嘘になる。そういうことを知っておくのは悪いことじゃないからな。 でもそういうのって自分で聞いて回るのが醍醐味だったりするんだよなぁ。聞くべきか、聞かざるべきか……。
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