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◆
これはひどい……。
鋭い日差しが容赦なく降り注ぐ外に出て、とりあえず境内に行ってみると、自然とその言葉が出てきてしまった。
あれからここが博麗神社だということを小傘に聞いて、それなら霊夢に水を一杯貰ってこようという結論に至り、こうして境内に立っているのだが……。
ブルーシートは敷きっぱなし、余った料理や空の酒瓶はそこら中に散らばっていて、宴会は終わったはずなのに尚も広がる酒臭さ。要するに後片付けが一切なされていないのだ。
でも俺はこの惨状を無視して霊夢を探す。今は小傘優先だ。
“今は気にする必要なし、時が経てばいずれ解決するわ”
そう言った紫だが、俺はそれが心の底から正しいとは思えなかった。
どうしたら小傘との旅を楽しめる?そう相談しようとした。返ってきた答えも解釈の仕方次第で納得はできる。難しく考えずに自然体でいればいいんじゃない?という解釈で納得した。
しかし頭では納得できても、心が納得していない。未だに頭に訴え続けている、それでいいのか、と。だから頭に釈然としないモヤモヤ感が残る。
「はぁ……」
すっきりしないな……。
あぁもう止めだ止めだ!このまま考え続けたらただでさえ痛い頭が更に痛くなる。今はとにかく霊夢を探すことに専念しよう。
しかし見当たらんな。境内にいると思ってたのに。こうなったら呼んでみるか。
「おーい!! 霊夢ー!!」
頭痛が酷くなるが、そんなことお構いなしに叫ぶ。
しかし結局戦いは数ということか、そこら中から聞こえる蝉の声に掻き消されてしまう。
ならこっちも負けないくらい声を張ればいいだけ。
「すぅぅ……れい――」
「うるせぇ!!」
「――むすたはぁ!!」
声を張ろうとしたらボールが怒号とともに飛んできました。やべえ、頭にクリーンヒットした。これ死ねる。
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