さだおの中のさだお

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みだらだ、けしからん程みだらなおれは、 自分の体に生えている体毛を観察してみる事にした。 まずは腕毛。 腕毛はイイヤツ。 彼とは幼い頃に出会った。 1つの毛穴から2本3本と若干別方向へ生えている。 人間それぞれの生き方を表現しているようだ。 次はスネ毛、モモ毛だ。 モモ毛には本当にすまないと思っている。 中2までおもらしをしていたおれは、どれだけモモ毛に迷惑をかけただろう。 おれはおもらしをしたある日の夜、寝たふりをしながら泣いた事がある。 モモ毛はついに我慢できなくなり、スネ毛に愚痴っていたのだ。 モモ毛『さだお寝たかな… よし、なぁスネ毛、聞いてくれよ』 スネ毛『なんだいモミー』 モモ『もう、いい加減おもらし終わらねーかな…。 限界なんだよね。 確かに気持ちはわかるよ。 おもらしする気持ち。 おもらしする KI MO CHI。 おれの頭上からあふれ出てくるんだ。 まるで滝に打たれた修業僧のようだよ。』 スネ毛『気持ちはわかる。でもさだおだって一生懸命おもらしをしてると思うんだ。 ちょっかいみたいなモンなんだよ。アイツなりの。 つーか 気持ち って2回言う必要あった?』 おれは枕を噛みながら泣いた。 泣いて、泣いて、泣き明かした。 そう、それがおれの体毛メモリー、略してケモリーである。
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