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「馬鹿すぎて何も言う気にならん」
年期の入ったジッポで煙草に火をつける
ゆらゆらと上に伸びて行く紫煙
納得のいかないとばかりに古虎の眉間の皺が深くなる
「何や、クロが夢々と桃々にでも見えたか?」
その言葉に空気が凍った
眉間を押さえた手の隙間から突き刺さるような眼光で桂吾をい抜くが、
そんな底冷えする視線にも怯む事なく話は進む
「いいか?お前の大事な双子ちゃんを守りたいんなら他の事に気をとられる暇なんてない筈や。
この日本、特にこの街では気を抜いた隙に全てを失う人間が掃いて捨てるほどいる
それを一番分かっとるのはオマエやろ?
クロは既に多くの人間の興味を引いてしもた
此から否応なしに色んなもんを惹き付けてしまう筈や
なら、そこら辺に転がしとくよりウチに籍を置いておけばある程度は防げるしクロの為にもなる
まぁ、クロの実力は純粋にウチの戦力として欲しかったからお互い持ちつ持たれつって感じやな☆」
悪戯っぽく笑う桂吾から視線を外し煙草のフィルターを無意識に噛む
いつも吸っている煙草が今日はやけに苦く感じ、部屋にあった灰皿に押し付け消す
「チッ、別にアイツが伝書鳩をやることには反対しない。
それが本人の意思なら尚更な
だが‥
“カラス”
だけはやらすなよ?」
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