職員室のマジョ

１.首なしカラスの死骸

　
　１年Ｂ組の教室から異臭がする――そう報告して来たのは、秋穂の後輩教師である新垣秀斗だった。

　１年Ｂ組は、秋穂が担任を務めるクラスだ。ちなみに新垣はその副担任。

　報告を受け、秋穂は焼き上がったばかりのトーストを口にくわえて渋々教室へ向かった。新垣と、何故か学年主任の城崎までもがその後に続いた。

　１年生の教室がある２階の廊下には、確かに何とも言えない嫌な臭いが充満していた。Ｂ組の扉の前で強くなったそれは、異臭の原因がこの扉の向こう側にあることを示していた。

　秋穂は愛用している黒いパーカのフードを頭に被ると、何の躊躇いもなく扉を開けた。