1.首なしカラスの死骸

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 ざく、ざく、とスコップを何度も何度も土に突き刺す。単調な穴掘り作業を、新垣は文句も言わずに繰り返していた。 「…本当に埋めるんですか?」 「そうよ。哀れな首なしカラスさんを埋葬してあげるの」  新垣の問いに、片手にゴミ袋をぶら下げた秋穂が答える。その中身は、先程のカラスの死骸だ。 「でもここ、学校の花壇ですよね。カラスの死骸なんて埋めちゃっていいんですか?」 「問題なし。理事長の許可は取ってあるから」 「…許可なんていつ取ったんです?」 「ついさっき。メールで」 「………」 「いい肥料になるよって言ったら、それは助かるって。植え替えの時期で花もないし、丁度いいでしょ」 「…理事長とは仲がいいんですか」 「まあね」 「…へえ」  新垣はそれきり無言になった。拗ねたように口を尖らせ、穴掘りを続ける。  学校の花壇にカラスの死骸を埋めるなんて非常識だが、それでも秋穂が言うなら従おうと思う。秋穂の負担が少しでも減らせるなら、穴掘りだって苦ではない。  ただ、新垣にとって、秋穂と理事長が気軽にメールを交換するくらい親密な関係であることが気に入らなかった。
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