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「ありがとう。もういいよ」
黙々とスコップを動かし続ける新垣の肩に、秋穂はぽんと手をおいた。何でもないような軽いボディタッチだった。
しかし、新垣は動揺してスコップを落としてしまった。
「…何。疲れた?」
「い、いえ。ちょっと手が滑って…」
「そう。気をつけて」
秋穂の手が肩から離れ、新垣は気づかれないように息を吐く。こんなのでいちいち動揺するなんて、俺は中学生か。と自らの情けなさに呆れた。
「ガッキー」
「ぅえ?…あ、はい」
それなのに、秋穂に名前を呼ばれただけでまた動揺してしまう。素っ頓狂な声を出した自分が、新垣はただただ恥ずかしかった。
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