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軍手を着用し、ゴミ袋の中から新聞紙に包まったカラスの死骸を取り出す。黒い羽根がパラパラと落ちてきて、秋穂はわずかに顔を歪めた。
「えんがちょ」
小さく呟いて新聞紙を開き、ひっくり返す。カラスの死骸がごろんと穴の中に落ち、すっかり硬くなったそれは黒いボールのように見えた。
「いい肥料になれよー」
その上に土を被せながら、秋穂はふと考える。
黒いパーカに、黒いスカート。さらに黒いフードで頭部を隠した黒ずくめの女が、カラスの死体を埋めている。端から見て、それは一体どのような光景に映るだろう。仲間の死体を埋葬するカラス人間の図、にでも見えるだろうか。
カラス人間。…なかなかおもしろいな。
秋穂は自分の発想に笑みを浮かべた。
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