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「話長いんですけどー」
語尾を伸ばした、イマドキ女子の生意気な声があがった。佐伯が視線を移すと、くるくるとカールされた毛先を指でいじる白井晴美(しらいはるみ)の姿があった。
派手な女子グループの一員となり、早くもクラスの中心人物の座を手にした彼女は、このように度々秋穂の邪魔をしていた。
「てかさ、朝のHRとかやらなくてよくない?別に大した話ないんでしょ?」
「まあ確かに、大した話はないね。でもHRは一応やっとかないと」
「何それ。教師の勝手じゃん。時間の無駄ー」
「そうね」
しかし秋穂はいつも冷静だった。掴み所のない飄々とした態度で、晴美の文句を受け流す。苛立った晴美は、秋穂に聞こえるように大きく舌打ちをした。
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