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「どうせならさー、朝のHRは新垣先生がやってよ」
晴美が諦めると、今度は別のところから声があがる。
三沢莉奈(みさわりな)。晴美と同じグループで、学年一の美少女だ。
「え。俺?」
突然指名され、窓際に立って待機していた新垣は戸惑った。
このクラスでは、担任の秋穂よりも副担任の新垣の方が絶対的に人気がある。顔はなかなかの美男子でスタイルも良く、何より爽やか。そんな彼は、新米ながら早速女子生徒たちの心を掴んでいた。
「あたし、新垣先生にやってほしいなー」
にっこりと莉奈が笑顔でおねだりすれば、その周りからも新垣を推す声が次々とあがってくる。
「…真島先生。俺はどうすれば…」
「あんたはどうしたい?やりたいか、朝のHR」
「とんでもない。俺には無理です。真島先生を差し置いて副担の俺がでしゃばるなんて、そんなこと出来ません」
「だよね。そんなことしたらあたしも怒られちゃうよ。俺様主任の城崎様に」
話しながら、秋穂は黒板消しを手に取った。
「やれやれ。ガキは集まるとうるさいね」
そしてふう、と息を吹き掛けると、ざわめく生徒たち目掛けてそれを投げた。
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