2.それはまるで

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 ――ガコンッ  黒板消しが天井に当たり、反動でチョークの粉が宙に舞う。粉雪のようなそれは、莉奈の体を直撃した。 「きゃーっ!」  女らしさ全開の、甲高い悲鳴。髪も肩も粉まみれにしながら、莉奈は叫んだ。 「ちょっと、何すんのよ!」 「あらごめんなさい。手が滑っちゃって」  莉奈の机の上に落ちた黒板消しを拾い上げ、秋穂は誠実さのかけらもない謝罪を行う。近くにいた生徒たちは、無意識に2人から距離を取っていた。 「ふざけんな!どうしてくれんのよこれえ」 「洗えばすぐに取れるんじゃない?」  秋穂の無責任過ぎる物言いに、莉奈はついに激昂した。 「最低!最悪!このクズ教師!」  「クズ教師」――怒り狂った莉奈が発した暴言に、秋穂はぴくりと片眉を上げた。  そして次の瞬間、突然高らかな笑い声をあげはじめた。
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