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歯を磨いている最中、職員室の扉が開く音がした。もしや侵入者かと秋穂が歯ブラシをくわえたまま洗面所を出れば、そこで見知った男に出くわした。
城崎総一郎。秋穂の先輩教師である彼は、30歳の若さで学年主任の座に上り詰めたエリートでもあった。同時に、生徒(特に女子)からの人気が非常に高い男前だ。
「……あ。へんはい。はひゃいっふへ」
あ。先輩。早いですね。と言ったつもりだったが、歯ブラシをくわえたまま発する秋穂の言葉は実に奇妙だった。
「…8割型何を言っているかわからない。歯ブラシをくわえたまま喋るな」
「へーい」
気の抜けたような返事をして、秋穂は洗面所へと姿を消す。そして数分後、さっぱりした顔で再び城崎の前に現れた。
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