332人が本棚に入れています
本棚に追加
「おはようございます。今日も早いですね」
朝の挨拶をして、先程うまく伝わらなかった言葉をもう一度発してみる。すると今度はきちんと伝わったようで、城崎はああ、とそれに応えた。
「お前はまだ着替えもしていないのか」
「ええ、まあ。さっき起きたとこなんで」
「職員室住まいは呑気でいいな」
「先輩も一緒に住みます?ここなかなか――」
快適ですよ。
言い終える前に秋穂は城崎に頭を叩かれた。パシッという小気味よい音と共に、脳みそが揺れるような衝撃が走る。
「……そんなに怒らなくても。軽い冗談なのに」
「この俺にくだらない冗談を吐くな。脳が腐る」
労るような手つきで頭頂部を撫でる秋穂に、城崎は冷たく言い放った。
この男には冗談も通じないのか。しかも「脳が腐る」って何だ。秋穂は目の前で何故か頬を赤らめている城崎に、心中で舌打ちをした。
最初のコメントを投稿しよう!