プロローグって何だろう?

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「げふゥッ!」  顔面に、革製の鞄の直撃を喰らう。ちなみに角だった。  それでも俺はしっかりと見てしまった。  教室内を埋め尽くす、色とりどりの布で覆われた山脈達を。 「ふっ」  我知らず失笑がこぼれ落ちる。  俺はだらだらと流れる鼻血を隠すそぶりをして、皮肉な笑みに歪む口許を手で覆い隠した。  片腹痛いわ。  山脈と呼ぶにもおこがましい風層平野しか持たぬ身で、一体何を恥ずかしがっているのか。  むしろ隠す必要などあるまい。  やはりここには俺の理想を体現する、秘宝は存在しなかったか……。
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