歪み

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社会には、 そうやって特殊な思考のある人間が、起こす事件が毎日のようにニュースで流れている。 他人事とは思えない事に、 腹立たしくもあり、 悲しくもある。 いまもなお、 被害者がたくさんいるはずで、これからもこんな事件はあり続けると思う。 でも、あり続けてはいけないと思うから、何か出来ることはないかって考えてる。 私たちは幸い、 刃物で切り刻まれたり、 深い悪戯をされたわけではなかったからいい方だと思わなければならないが‥ 姉と私では、 その後かなり性に関しては極端になった。 私は、 「汚れた身体」 という殴り書きをされた感じだった。 体を誰かに委ねるなんて平気でできた自分がいたが、姉は逆で、異性を拒否するようになった。 こんな悲しい事ってあるだろうか‥ あたりまえの恋愛が、 当たり前にできないのだ。 決して悪くないんだ、 自分たちは悪くない。 言うことを聞かないで、 殴られてたら? 抵抗して、刺されたら? 怖いもん。逃げれないもん。 私の中で、 なされるがままになることは、自己防衛だった。 さっちゃんもそう。 不器用だから、 とっさの機転や言い訳も思いつくようなタイプではないし。 じぶんの欲求の為に 、幼い心に傷をつけるのは、 許されていいのだろうか? 神様は、 あいつに罰を与えてくれただろうか? 数年後、 おじちゃんは亡くなったと聞いた。 ざまーみろっていうのと、 少しホッとしたのが本音。 病気か何か、 死因はわからなかったが、 お葬式には参拝者もまばらで実に小さな式だったそうだ。 こうしてやっと、 平穏な日々を取り戻した後でも、やはり小さな頃の思い出を思い出すたびに、この暗い過去も影を落とす。 そして、同じように誰かが、 苦しんでいると思うのも、 正直辛い。
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