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その日、
私は一人でおつかいに来た。
おこづかいをもらうために、お父さんのタバコを買いに走っていた。
「おーい,おーい。おいで」
呼び止めたのはボートのおじちゃんだった。
いつものように、ニコニコと笑顔が優しいおじちゃんだった。
何の抵抗もなくお店に入り,
「今日はお菓子ないの?」
と聞いた。
「キャンデーがあるよ。ココに座りなさい。」
指差したのはおじちゃんの膝のうえ。
一瞬『えっ?』と思ったが,いつもやさしいおじちゃんだ。
お膝に抱っこなんて、お父さんやお母さんに長いことしてもらっていない。
なんだか懐かしく思えて、甘えさせてもらうことにした。
膝にのって、
「飴をあげるよ。あーんしてごらん」
といわれ口を大きく開いたところに,おじちゃんの口までついてきた。
《・・・???》
なんだ!?なんだ!?
それがキスだということは、幼い私にもわかった。
「いやっ!!」」
猛ダッシュで家に帰った。
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