歪み

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以来、 避けるように、ボートのおじちゃんのところへはいかなくなった。   お小遣いを稼ぐ手段として、 大好きだったおつかいもお姉ちゃんに譲った。 ‥まてよ‥ とても恐ろしい自事態が頭をよぎる。 私はとんでもなく、自意識過剰すぎたのではないか。 私にだけ、おじちゃんが手をだしているということは、無いんじゃないのか? 「お姉ちゃんも同じことをされていないわけがない。」 どうしよう‥どうしよう‥ ブルッと寒気がはしる。 おぞましい。 考えたくない。 あたしがおつかいには、行かないっていったから,お姉ちゃんはお母さんから、 「お姉ちゃんなんだから、あんたがいきなさい」と言われていた。 さっきも出ていったが、もう15分はたつ。 「おそいわねー」 お母さんがいう。 出ていく間際まで悲しいような 「いきたくない」という顔を見せた姉だ。 絶対に同じことをされている。 なぜ気付かなかったのだろうか。 自分のことしか、考えていなかったことに気づく。 いてもたってもいられなくなり,お迎えにいった。 家を出てすぐの、信号のところで、姉がいた。 姿を見かけて、とりあえずはホッとする。 「お母さんが遅いって心配してたから‥」 「ん‥ごめん‥」 おこったような表情でうつむく姉をみて、「守らなければ」とおもった。
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