歪み

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それからというもの、 姉をかばうためなら、 私は自分を犠牲にしてもいいとおもった。 おじちゃんは、 私が姉と一緒にいるときは 決まって、姉に声をかけていた。 それは、 私よりも自己主張が下手くそな姉だったので、そういうところを、 おじちゃんには見透かされていたのだろうと思う。 姉も、 内心どう思っていたのかはわからないが、 たじろいながら店に入っていった。 断らなかった気持ちは、 きっと私と同じだろう。 そういうのも、 よくわかっていた。 わたしは、 姉がお店に入るのを見ては、 すぐさま他の友達を呼びに行き、 「ボートのおじちゃんが、 おもしろいモノみせてくれるってー!」 と誘い、 「おじちゃーん!遊びにきたよー!」 とわざと大きな声で叫ぶ。 中から姉とおじちゃんがでてきて、 「ああ,いらっしゃい」と言う顔はチェッと舌打ちしたような顔だったので、事は起きる前だったと安心したものだ。 でも作戦はだんだん読まれてきた。 石焼き芋屋さんがきてるときだ。 50メートル程離れたところにとまっていた。 私は不覚にもみんなと一緒にパソコンをみていたつもりが、みんなそっちにいってしまったことにきづかず、おじちゃんと二人きりとなってしまっていた。 「声をだすなよ」 言われたことに、一瞬で全身が凍り付いた。
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