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そしてそして、さらにそれから2年がたった2月。
俺の誕生日。
朱利の家で、毎年恒例の合同誕生日パーティーが終わって、今は朱利の部屋に2人きり。
ちなみにすっかり遅い時間になってしまっているが、俺と朱利なので、俺と朱利も含めた両家族全員が何の心配もしていない。
朱利の東京の大学進学が決まり、実際荷造りを手伝っているだけだった。
朱利はなぜかいつもうっかり俺への大事な報告を忘れるせいで、毎度俺はギリギリでその事実を知らされる。
「朱利ちゃん、東京行っちゃうんだ…」
号泣だった。
もちろん俺が。
「そんな。新幹線ならすぐだよ、いつでも会えるよ。泣かないで?ケンちゃん。」
荷造りの手を止めて、朱利はまた俺の頭を撫でてくれる。
それでも、とうとう涙は止まらない。
「だって新幹線で往復いくらかかると思う?バイトしてお金貯めたって月2回くらいしか会えないよ…」
ぎゅっと両手を握って俯くことしかできない。
ずっと朱利は頭を撫でてくれているけれど、涙がぽたぽたフローリングに落ちていく。
沈黙が少し続いてから
「知ってた?ケンちゃん…」
朱利が静かに口を開く。
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