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「あーかーりーちゃん、あーそーぼー!」
小学1年生の俺は、隣の家の扉に向かって何のためらいもなく呼びかけ
「ケンちゃん、おまたせ~」
にっこり笑った小学2年生の朱利が家を出てきた。
母さんと朱利のお母さんは高校時代からの大親友で、大学も会社も違ったのにずっと仲良しで、結婚して2人ともが主婦になっても仲良しで、わざわざ遠くに住むのも馬鹿馬鹿しいと家を隣同士に建てたらしい。
おまけに、朱利が生まれてちょうど1年ぎりぎり1日前に俺が生まれ、母さんと朱利のお母さんはほとんど一緒に育児をすることになる。
誕生日は毎年ウチか朱利の家かで合同パーティーをした。
朱利にしてみたら毎年1日早い誕生日パーティーなんだけど、朱利は文句なんか1回も言わなかった。
朱利も俺も正確には一人っ子なのに、でもまるで姉弟のようだった。
一人っ子と末っ子の両方を兼ね備えた俺は、もれなく甘ったれのヘタレになり
一人っ子と長女を兼ね備えた朱利は、のびのびとした素直さ真摯さと気遣いと優しさを身につけた。
俺が転んで泣くと、いつだって朱利が撫でてくれた。
俺は朱利に撫でてもらうと、すぐに泣きやんだ。
単純な子どもだった。
きっとこの世に生を受けた時から、俺が朱利を好きになるのは決まってたと思う。
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