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それからさらに1年経ち、俺は高校生になった。
朱利が通う高校に1番近い、男子校だ。
ちなみに不運なことにそこは進学校で、僕は朱利の高校に近いその高校に入学するために、1年間死に物狂いで勉強した。
見事合格し、高校初登校のその日、やはり同じタイミングで家を出た俺と朱利。
「おはよう、ケンちゃん」
中学の頃のように朱利ははしゃいだりしなかった。
「今日からケンちゃんブレザーかぁ。カッコイイね」
ニッコリ笑った朱利に俺はキュンとしたが、慌ててそれを振り払い、決意を決めた。
「おはよう、朱利!!!!」
すかさず後頭部に激痛が。
「痛ぇよ!!!!」
振り返るとなぜか母さんが。
「あんたねぇ、何回言えばわかんの!朱利『ちゃん』でしょうが!!」
俺がせっかく意を決して言った3年ぶりの「あかり」は、またしても母さんによって訂正される。
「ほらお弁当」
どうやら忘れていた弁当を渡すために、わざわざグッドタイミングで出てきたらしく、渡すとさっさと家へ入っていった。
「でも、そうね!ケンちゃん背も高くなったけど、怖い先輩もいるだろうし高校でだって先輩を呼び捨てしちゃだめなんだからね?」
朱利は心底心配しているようだった。いやわかってる。
わかってるんだ。
先輩を呼び捨てにしちゃいけないの、十分わかってる。
でも俺が朱利を呼び捨てするのは、意味が違うだろー!!!!!!!!!!!!!!
心の中で大きく叫んでいる間に、「ほらほらバスに乗り遅れちゃうよ?」朱利はさっさと歩き始めてしまう。
「朱利ちゃん待ってよ~」
慌てて追いかけて、見た朱利の頬がほんのり赤い気がした。
「朱利ちゃん?」
「なぁに?」
「ほっぺた赤い?」
朱利は慌てて両手でほっぺたを隠す。
「チ、チーク塗りすぎたかな?」
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