彼女、泣く。

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とっくに年明けたのに未だにクリスマスのイルミネーションが飾られてる昼間の街並みを歩きながら他愛もない会話をしていると、ユミはふと顔を上げて言葉を溢した。 「どうした?」 「見て。」 手を丸くして何かを待つユミ。すると、綿毛のように軽く白い何かが空から落ちてきた。 「ほら、雪。」 手に収まるとそれはゆっくりと溶けていって一粒の水滴だけが手中にある。 「初雪か。」 「うん。やっぱり都会は遅いね~。」 「5cm積もれば電車は止まっちまうから不便だ。」 「新潟の方が良い?」 「この季節ならな。あそこは何もない。」 「そうなの?」 「特に俺の故郷は殺風景だ。あるのは水田と畑くらいかな。」 「静かで良いじゃない。」 「夏はセミとカエルが喧しくて眠れたもんじゃないぞ?暑ぃし。」 「けど、夏は川で遊んだんでしょ?都会じゃムリだよ。」 「まあ、あれは田舎ならではの特権だな。今度一緒に行くか?」 「うん。機会があったら言ってみたい。」
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