母、出かける。

3/5
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
だから、敢えて気にしないし何も言わない。どうせ後から泣くのは決まって母なんだし自分には関係ないから。 「アンタたちはあんな親になってはいけないよ。子供が可哀想だもの。」 「なるわけねーじゃん。」 「なりたくねぇし。そんな親になんか。」 昼間、仕事やらバイトやらで良く働く母には尊敬するが夜になって夜遊びする母には嫌気をさす。 人間は良い所だけ評価し悪い所は拒絶する生き物。俺も兄も祖母も親戚の皆も、母の良い所だけ評価してる。 夜遊びさえなければ良い母なんだがな…。ま、一生無理だろうが。 「なあ、いつものように賭けねぇ?」 そう提案するとさっきまでクヂグチ言っていた2人の表情がパッと変わる。 「良いねぇ。いくら賭けよう。」 「テキトーに500円で良いじゃね?」 「じゃ、俺は3時に帰ってくるのに賭ける。」 「アタシは1時。」 「俺は4時に賭ける。」 3枚の500円玉がチャリンと鳴った。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!